[問題]電験2種二次 平成28年 電力・管理 問6
問題内容:変電所…短絡電流
難易度:★★★☆☆(2種標準レベル)
目標時間:★★★☆☆(25分以内)
【問題】
図1は、送電線から受電した を 変圧器で降圧して 負荷回路に供給する回路である。 がそれぞれの送電線路、配電線路における区分ごとの合成インピーダンスを表すとき、次の問に答えよ。ただし、上位系統の背後電圧を 一定とし、負荷回路からの短絡電流供給はないものとする。
(1)
から見た電源側背後インピーダンスの大きさを求めよ。
(2)
における三相短絡電流を求めよ。
(3)
における三相短絡電流を求めよ。
(4)
の発電機(初期過渡リアクタンス )を図2のように 母線に接続することとした。 及び の定格遮断電流が であるとき、 変圧器の自己容量基準パーセントインピーダンスの下限値を求めよ。
※以下は個人の回答例です。
【回答】
基準容量を 、一次と二次の基準電圧を と する。
※%インピーダンスの問題では、最初に基準容量と基準電圧を定義することをおすすめします。(基準値は通常は定格値を用います。)
(1)
図1より、 から上位系統を見たインピーダンスマップは下図となる。
から上位系統を見た%インピーダンス は、
のインピーダンスの大きさ は、
(2)
基準容量、基準一次電圧における基準一次電流(定格一次電流) は、
における三相短絡電流 は、
※ここまでは3種レベルです。
※短絡電流は電源から発生するので、当然ですが上位系統側からのみ流れてきて、負荷回路側からは流れてきません。
(3)
図1より、 から上位系統を見たインピーダンスマップは下図となる。
と を基準容量に変換した と は、
から上位系統を見た%インピーダンス は、
基準二次電圧 における基準二次電流(定格二次電流)は、
における三相短絡電流 は、
※%インピーダンスに実数が加わり、若干計算量が増えましたが、(1)(2)とほぼ内容は同じです。
※ は二次側のため、換算を忘れないようにしましょう。
(4)
図2より、 から上位系統及び発電機側を見たインピーダンスマップは下図となる。
と と の内、最も大きい三相短絡電流が流れる遮断器は のため、 に定格遮断電流 が流れたときの から上位系統・発電機側を見た%インピーダンス を求める。
このときの変圧器の自己容量基準での%インピーダンス はリアクタンス成分のみと考えると、 が次式が表すことができるため、その式の変形から を求めることができる。
以上。
※ の中で最も大きい三相短絡電流が流れるのはどの遮断器か、まずはそこから理解しましょう。短絡電流の発生源は電源で、この問では上位系統と発電機の2箇所です。そこから、正確なインピーダンスマップを書けば一目瞭然で が最も大きい三相短絡電流が流れる遮断器ということが分かります。
(因みに に最も大きい三相短絡電流が流れるときの短絡点は、 と 変圧器の間です。)
【類題】
・平成24、21、19、15、10、5…
短絡電流、短絡容量、 を問う問題は頻出度がかなり高く、上記の通り定期的に出題されています。
問題によって、計算量の多い問題や論説と組み合わせた問題など、色々な出題パターンが考えられますので、いつ、どう出されても解けるようにしておきましょう。
【ひとコト】
平成28年2種二次試験の問題は次回の電力・管理の問4で終わりにする予定です。
その後は平成28年3種の問題をやろうかなと思っていますが、その他リクエストあればお気軽にコメント下さい。2種3種どちらでもOKです。(1種の方は自分でやって下さい…。)
・平成28年度 電験1種と電験2種の二次試験 問題
電気技術者試験センターの公式サイトです。ここから問題が見れます。
・電験2種二次 平成28年 受験感想
・電験2種二次 平成28年 電力・管理 問3
・電験2種二次 平成28年 電力・管理 問4
・電験2種二次 平成28年 電力・管理 問5