[問題]電験3種 平成28年 機械 問17
問題内容:電気加熱…ヒートポンプ
難易度:★☆☆☆☆(超易問)
目標時間:〜5分
※問題は手元の問題集や電気技術者試験センターの公式サイトで確認下さい。
※以下は個人の解答例です。
【解答】
(a)
体積 の液体を 温度上昇させるために必要な熱エネルギー は、その液体の比熱容量を 、液体の密度を とすると、次式で示すことができる。
※この問は機械の電気加熱の問題ですが、①式は電力科目の火力発電でも用いる重要な式です。ただ、単位から考えれば自ずと①式が成り立つことは理解できるので、特に式を暗記する必要はありません。
※①式において、水の比熱 と密度 は題意より与えられているため、体積 と上昇温度 が分かれば、熱エネルギー を求めることができます。
上昇温度 は問題文より、
※摂氏温度の単位 から絶対温度の単位 に変換されていますが、 であり、摂氏温度での差と絶対温度での差は等しいため、そのまま計算しても差し支えないです。
水の体積 は であるから、
①式へ与えられた諸量と②と③を代入し、加熱に必要な熱エネルギー を求める。
※(a)はヒートポンプ特有の問題ではなく、電気の知識も必要としない、簡単な単位合わせでも解けてしまう問題です。確実に解ける様にしましょう。
(b)
成績係数 とはヒートポンプの性能を示す指標であり、入力熱量(エネルギー) に対する出力熱量(エネルギー) の比であるため、その定義式は次式で示される。
※成績係数 の値は通常3〜6程度であり、 ですが、少数にはなりません。大体のオーダーを理解しておくと、ケアレスミスが防げるので、覚えておきましょう。(なぜ1より大きくなるのかは後ほど説明します。)
⑤式の分子である出力熱量(エネルギー)は、まさに(a)の解である加熱に使用した熱エネルギー である。
⑤式の分母である入力熱量(エネルギー) は、ヒートポンプで使用した消費電力量に相当するエネルギーのため、ヒートポンプの消費電力を 、加熱時間を とすると、次式で示される。
⑤式へ④と⑥を代入し、加熱に必要な時間 を求める。
※(b)は「成績係数 」という他ではあまり使われない言葉が出てくるヒートポンプ特有の問題です。ただ、問題の内容は成績係数の定義式(⑤式)を理解していれば、代入するだけで解けてしまう極めて簡単な問題です。
※より詳しく理解したい方は、図1の簡単なヒートポンプの原理を勉強してみましょう。図1のように低温側から高温側に熱を運ぶ熱サイクルを逆カルノーサイクルといいます。(エアコンをイメージすると理解しやすいかと思います。)
※上式より成績係数 となります。
【類題】
・H21年問17
ヒートポンプの出題は少ないですが、なぜかB問題の選択として定期的に出題されています。
28年・21年ともにもう一つの選択問題は情報(論理回路)の問題であり、得意な人以外は通常ヒートポンプの方が分かりやすいかと思います。
そのため過去問で出題されたレベルの問題は解けるようにしておきましょう。
因みに電験2種1種の一次試験ではたまに(2種H27、1種H21)、エネルギー管理士では選択で毎年出題されていますので、ステップアップを目指している方は図1の原理は勉強しておいて損はないかと思います。
【ひとコト】
このB問題で10点は超おいしい問題です。
機械は等価回路やベクトル図が書けないと解けない問題やある程度の計算力が必要とされる問題も多く出題され、4科目の中でも難しい科目です。
難問が解けることも重要ですが、まずはこのような簡単な問題で確実に得点を獲っていくことが合格へ繋がっていきます。
受験する方は電気書院かオーム社の過去問題集どちらかは持っておくべきです。
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・電験3種 平成28年 機械 問16